プロジェクターに出力されない

職場にて。
しばらく事務所がざわついたかと思ったら
どういうわけか、その中から私を呼ぶ声が上がり
その呼びかけに応じるカタチで
私は参上仕(つかまつ)った。

「ノートPCからプロジェクターに出力されないんだ!」

その言葉で、私は状況を理解した。
しかし待って欲しい。
いくら私がメガネをかけているからといって
決して機械に強いわけではないのである。

むしろ初めての機械を扱うことに関しては
ヒトの数倍理解に時間をかけてしまう質(たち)なのだが
そのプロセスがどうやら
マシントラブルの対処と相性が良いらしい、という
ただそれだけのことであって
外観がオタクっぽいから機械に強いわけではないのである。

「これじゃあ午後からの講義に間に合わないよ!」

制限時間は2時間半。
いつぞや「Skypeがつながらない、20分以内になんとかして」と
言われた時を思い出せば、なんてことはない。
余裕のよっちゃんである。

困っている本人は相当焦っているらしく
誰がこのプロジェクターを持ってきたかをつきとめて
本部に連絡したり、更なる助けを求めたりと
見ていて気の毒になる程であった。

そんな講師を横目に
出力されない原因を考える。

プロジェクター側で入出力表示画面を展開するも
PC側からの入力信号は「なし」となっている。

コネクターがしっかり入っているか確認するも
異常は見つけられなかった。
PC側のコネクターは「出力」にしっかり挿さっているし
プロジェクター側もちゃんと「出力」に挿さっている。
何も問題は無い。

…んん??

問題は、無い、のか??

よくわからんけども
PC側が「出力」して
プロジェクター側も「出力」して
お互いに出力してたら
ケンカになるんじゃないのか??

と、思い
試しにプロジェクター側のコネクターを
「入力」に挿し直してみると

事務員「あ、映った!」

なんと事態が解決。
コネクターを挿した本人、すなわち
気の毒になるほど焦っていた講師に話を聞いてみると

「いやー、オレ、機械弱くてさぁ!
 挿さればなんでもいいと思ってた!
 これは赤っ恥だ!ありがとう!」

との豪快な回答。
私も負けじと

「いやいや、私も機械音痴なものですので」

と応答してみたのだが
今回もまた、誰一人としてその言葉を信じる者はいなかったという。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。