祖母の山野草プロジェクト

ある日、体調を崩した祖母は言った。

「私が死んだら、山野草は全て捨てて頂戴。こんな趣味、莫迦(ばか)げて見えるでしょう?でも辞められないの!私、莫迦だから!ここまでくると、最早病気!私は重症よ!」

これは、ある種祖母の口癖ともいえるもので、しかし祖母がそんなことを言う度に周りもせいぜい、そんなことはない、と言うのが精一杯で。

「それだけ熱くなれるものがあるってのは素敵なことだと思う」

私もそんな軽い言葉しか言えないでいた。

だが、私は思うのだ。

祖母がそれを大切に思っているのは言うまでもなく、ただ、これまで誰にも評価されずにいて、拗れてしまっているだけなのではないか、と。

だからこそ、私は…いや、、、

オレは、証明したいんだ。ばーちゃんがこれまで積み上げてきたものの価値を。

力仕事はできないけれども、

定期的な注射なしでは歩くことすらままならないけれども、

それくらいのことだったらできるさ。

やってやろうじゃあないか。

祖母に、人生の幾らかを費やしてきたモノを「莫迦」と言わせないために。

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