年数にして、7年余り。
私は北海道にいた。
そこは「非日常」と呼ばれる世界で
冬は氷点下20度を下回り
朝起きて玄関の扉を開けると
たくさんの、脱走したブタに囲まれたりする世界。
故郷に帰ってきた今
それはとんでもない世界だったなぁとしみじみ思うのだけれども。
◇
地元の友人たちとのドライブで
友人たちは、日本海を指差して
「すげー」とか「きれー」とか叫ぶのだが。
北海道の絶景を知る私は、
共感できるはずもなく。
地元の友人たちは非日常に憧れていて
やれキャンプだ、冒険だ、と囃したてる。
しかし、かつて日常をそこに置いていた私は、
やはり魅力を感じるはずもなく。
友人たちにしてみれば
さぞ私は面白くない人間になり下がったのだろう。
しかし、私は北海道での経験を誇りに思っているし
ましてやそれが間違いだったなどとはかけらも思っていない。
自然の成り行き。
アルミ缶の上にあるミカン。
私は私の道を行く、ただそれだけの話。